肩関節周囲炎の俗称といわれる疾患、五十肩。
この五十肩は年齢を重ねるごとに発症する可能性がある疾患の一つでもあります。
今回はそんな肩関節周囲炎の病態や症状、概要について紹介していきたいと思います!
五十肩って聞くけど何で五十なのかしら?
年を重ねれば絶対なるの?それは嫌だなー・・・
最近肩が痛かったり上がらないけどこれってそうなのかな・・・
などなど、五十肩に少しでも疑問や悩みのあるかたの参考になればよいと思います。
また、疾患自体に興味あるなどの知的好奇心も大歓迎なのでぜひ見ていってください!
ここからは五十肩の紹介に入っていきますね!
五十肩は加齢によって名付けられたもの!
50歳を中心に発症しやすいといわれるのが、この五十肩です。
五十肩は俗称であり、正式名称は肩関節周囲炎といいます。
この肩関節周囲炎は、中年以後の肩関節周囲の組織である筋肉や靭帯、関節包などといった部分が弱くなってくることを基盤として発症します。
これらの組織が弱くなると、肩を動かすのに制限が出て動きにくくなったり、痛みが強く出たりするなどの様々な症状に悩まされます。
それでは具体的にどんな疾患なのでしょうか?
次の項目ではそちらを説明していきましょう!
【参考文献】
監修/石井直方,著者/左明,山口典孝.カラー図解筋肉のしくみ・はたらき事典.西東社.2010.50P
編集/石川齊,武富由雄.図解理学療法技術ガイド 理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて 第2版.文光堂.2007.738P
五十肩の概要について
先ほども言いましたが、五十肩、つまり肩関節周囲炎は50代を中心に発症します。具体的には40~60歳代ですね。
五十肩の特徴は肩関節周囲の組織の弱体化、いわゆる退行性変化というものですが、肩関節に存在する動きを滑らかにしてくれる関節液に異常が出たり、関節を包む関節包という部分が炎症・老化の影響を受けた際に症状が現れます。
また、この肩関節周囲炎は何らかの外傷を受けた・受けなかったと関係なく肩甲上腕関節の周囲に上記のようなメカニズムが起き、関節の動きの制限を受けさせます。
このような動きの制限が強い特徴を凍結肩といいます。
凍ったように肩が動かなくなることからこの名前が付けられています。決して冷たくなることじゃありませんからね?
そんな痛みや、動きの制限を作ってしまう五十肩ですが、画像などを撮影しても
「これが肩関節周囲炎だ!」
なんていうような明確な特徴はありません。
そのため、明らかな疾患が見られないけど、症状があるというのが肩関節周囲炎の特徴ともなります。
まるで腰痛のような存在ですね。
ただ、この肩関節周囲炎は一度発症したら治らないわけではありません。
適切な治療やリハビリ、はたまた自然に治ることもあります。
そのため、五十肩である肩関節周囲炎は下記のように経過をたどっていきます。
- 凍結進行期:痛みが強く、動かすのもかなりきつくでしんどい状態
- 凍結期:痛みが徐々に軽くなっていくが、動きの制限や組織の癒着などが出てくる状態
- 解凍期:痛みも減り、動きの制限がほとんど取れて元の状態に近くなる状態。
このような経過をたどっていくのが肩関節周囲炎の最大の特徴です。
そのため、痛みに我慢強い人は自然になおったと思って病院に行かずに済む人もちょいちょいいます。
個人的には悪化する前に病院に行って診察をしてほしいと切実に願います。
このように、肩関節周囲炎の概要としては3つの時期を通して症状が悪化したり、良くなったりをしていくのです。
私は痛みが嫌いなので病院にすぐ行きたいと思います・・・
【参考文献】
監修/石井直方,著者/左明,山口典孝.カラー図解筋肉のしくみ・はたらき事典.西東社.2010.50P
編集/石川齊,武富由雄.図解理学療法技術ガイド 理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて 第2版.文光堂.2007.738P
著者/日野原重明.系統看護学講座専門基礎Ⅰ人体の構造と機能[Ⅰ]解剖生理学第6版.医学書院.2004.57P
監修/奈良勲,編者/吉尾雅春.標準理学療法学 専門分野 運動療法学 各論 第2版.医学書院.2007.286-287P
監修/富士武史,共著/河村廣幸,小柳磨毅,淵岡聡.ここがポイント!整形外科疾患の理学療法改訂第2版.金原出版株式会社.2012.94P
編集/三上真弘,石田暉.リハビリテーション医学テキスト(改訂第2版).南江堂.2006.221P
編集/井原秀俊,加藤浩,木藤伸宏.多関節運動連鎖からみた変形性関節症の保存療法-刷新的理学療法-.全日本病院出版会.2010.107P
編集/柳澤健.理学療法学ゴールド・マスター・テキスト2 運動療法学.メジカルビュー社.2011.306-307P
編著/整形外科リハビリテーション学会.改訂第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹.メジカルビュー社.2014.102P
五十肩の病態について、なぜ起きるのか?
さて、ここでは肩関節周囲炎の病態について説明していきます。
肩関節周囲炎の病態に関しての原因はさまざまあります。
基本的には退行性変化による影響なのですが、下記に起こすと・・・
- 肩峰下滑液包炎
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 癒着性関節包炎
- 烏口上腕靭帯の短縮
- 腱板疎部の癒着
- 腱板の短縮
などなど、とんでもない数の原因があります。
といってもこの原因が明らかならば肩関節周囲炎ではないと私は思いますが・・・
このような原因が生まれるのは退行性変化による血行障害や運動による組織の機械的な刺激(摩擦や物理的なストレス)を基盤として発生します。
そのため、一番その影響をうけやすいのが上腕二頭筋長頭で次に棘上筋・棘下筋などのローテーターカフです。
肩を動かす際に一番働き、ストレスをうける部位となりますので、肩の動かしすぎには注意が必要でしょう。
これによって血行障害が生じることで、修復を促すための血液が不足することにより筋肉は固くて痛くなり、固まるのです。
これが五十肩の病態となります。
【参考文献】
監修/石井直方,著者/左明,山口典孝.カラー図解筋肉のしくみ・はたらき事典.西東社.2010.50P
編集/石川齊,武富由雄.図解理学療法技術ガイド 理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて 第2版.文光堂.2007.738-739P
監修/奈良勲,編者/吉尾雅春.標準理学療法学 専門分野 運動療法学 各論 第2版.医学書院.2007.289-290P
監修/富士武史,共著/河村廣幸,小柳磨毅,淵岡聡.ここがポイント!整形外科疾患の理学療法改訂第2版.金原出版株式会社.2012.94P
編集/三上真弘,石田暉.リハビリテーション医学テキスト(改訂第2版).南江堂.2006.221P
監修/内田淳正,編集/中村利孝,松野丈夫,井樋栄二,馬場久敏.標準整形外科学 第11版.医学書院.2011.420-421P
編著/整形外科リハビリテーション学会.改訂第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹.メジカルビュー社.2014.102P
五十肩の多岐にわたる症状
じゃあ一体どんな症状がでるの?
そんな疑問もでてきますね?
ここからは少し症状の内容についても触れていきたいと思います。
主に存在するのは下記のような症状となります。
- 運動痛
- 圧痛
- 放散痛
- 夜間痛
- 結滞・結髪動作の制限
などのような症状がでやすいです。
今度はこれらを一つずつ見ていきましょう!
運動時痛はひねりや広げることが出来ない
運動時痛とは、名前の通りに運動すると痛みが出てしまう痛みのことを指します。
肩関節周囲炎では特に上へ肩を持ち上げる際の印象を持たれますが、実際大きい特徴なのは、肩を外側にひねる動作や、横に腕を広げる動作のときに著明にあらわれます。
肩甲上腕関節のひねりや横への持ち上げにはローテーターカフの機能が重要となるのですが、五十肩の方はそもそもローテーターカフの機能が弱くなっています。
その状態で肩を上げると上腕二頭筋などに過剰な負担がかかってしまい、痛みが出るのです。
運動時痛の特徴は基本的にはインナーマッスルであるローテーターカフの機能の弱体化が関係してきますね。
そういえば前回、肩の安定性では腱板が大事って言ってましたね!
圧痛は骨や筋肉に痛みがみられる
圧痛とは、指で押したりすると痛みが強く出る場所を指します。
なかなか自分で押すことがないですが、診察の時や理学所見を取る際にはこの症状を見ていきます。
主な場所としては
- 肩峰外側端
- 三角筋
- 上腕二頭筋長頭腱
- 肩甲骨烏口突起
- 上腕骨大結節部
- 棘下筋
となります。
これらは関節の構成部位だったり、筋肉だったりするので、炎症や関節包などの刺激を加えて痛みが出るかを判断してみていきます。
このように、様々な部位に痛みが出現するのが圧痛の特徴です。
放散痛は首から腕にかけての痛み
放散痛とは、首から腕にかけて線のように痛みを感じるものを指します。また、場合によっては一部の部位に広がる感じを得られるのも特徴です。
この放散痛は神経性の場合もありますが、首から腕にかけてある場合は筋肉の問題の可能性が大きいです。
そのため、姿勢やなで肩なのかなども関係し、それに伴って筋肉がつながって痛みを感じる場合も見受けられます。
なので、安易に神経痛とは考えてはいけないのが特徴です。
夜間痛は寝返りの圧迫や伸ばされての痛み
肩関節周囲炎の最大の特徴ともいえるのがこの夜間痛です。
夜に寝ている際に強く出現し、寝ていても痛みで起きてしまうため睡眠不足の方も多く見られました。
特に冬場における夜はきつく、筋肉が冷えてしまい血流をさらに悪くしてしまうので寝つける人が少ないです。
寝ている間は肩甲骨が床・ベッドに固定されているため、持続的に筋肉や靭帯が引っ張られている状態となっています。
そのため、じわじわと無意識に伸張された結果、夜でも耐えられずに目が覚めてしまうというのが大きな特徴です。
そのため、寝るときは肩が楽にできるポジションを見つけなければならないのが一苦労となります。
結滞・結髪動作の制限は肩関節の痛みや拘縮によるもの
一つずつ説明します。
まず、結滞動作とは背中に手の甲をつける動作となります。日常的には後ろポケットから財布やスマホを取り出したりする動きですね。
結髪動作は後頭部を触る動作で、主に髪を整えたり、洗ったりする時の動きとなります。
肩関節周囲炎ではこの動作が著しく悪くなる場合もあり、この場合は靭帯や筋肉の固さが影響を与えます。
そのため、これらの動作を行うと痛みが伴い、突っ張るような痛みを感じやすいのが特徴です。
生活で困るのがこの症状であり、皆さんが改善を追及したがる部分となりますね。
【参考文献】
編集/石川齊,武富由雄.図解理学療法技術ガイド 理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて 第2版.文光堂.2007.738P
監修/富士武史,共著/河村廣幸,小柳磨毅,淵岡聡.ここがポイント!整形外科疾患の理学療法改訂第2版.金原出版株式会社.2012.94P
編集/三上真弘,石田暉.リハビリテーション医学テキスト(改訂第2版).南江堂.2006.221P
著者/信原克哉.肩ーその機能と臨床第4版.医学書院.2012.101P
編著/工藤慎太郎.運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学.医学書院.2014.33-37P
監修/青木隆明,執筆/林典雄.改訂第2版 運動療法のための機能解剖学的触診技術 上肢.メジカルビュー社.2012.182P
編集/柳澤健.理学療法学ゴールド・マスター・テキスト2 運動療法学.メジカルビュー社.2011.307-308P
【結論】五十肩といっても原因は様々だから油断するな!
お疲れ様でした!最後まで読んでいただきありがとうございます
この頭痛も肩こりから来ているんでしょうか?
五十肩の人は姿勢や動きによって頭痛がするのも一つの特徴ですね。ストレッチだけでは一時的にしか治りませんので気を付けましょう!
早く軽減方法を書いてください!
そ、そのうち書くので待っていてください・・・
あ、怒ったらすっきりして頭痛無くなりました!それではまた次回お会いしましょう!
コメント