姿勢変化や生活習慣によって筋力低下などを伴う腰椎椎間板ヘルニア。
今回は腰椎椎間板ヘルニアによって行うリハビリ、つまり運動内容について紹介していきます!
病院でリハビリ開始と言われたけどどんなことされるのか分からないから不安だわ・・・
きつい運動はしんどいから行くのが憂鬱だなー・・・
うちの家族がどんなリハビリされてるか心配だわ・・・
このような悩みや不安を感じている方の参考になればよいと思います。
その他の腰椎椎間板ヘルニアの記事も気になる方はこちらの記事も参考にどうぞ!
ここからは腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの内容について紹介していきますね!
腰椎椎間板ヘルニアでの運動療法の目的
腰椎椎間板ヘルニアでのリハビリテーションの中での運動療法は、手術をしないで治療する保存療法の場合と、術後における運動療法では内容と目的に差が出てきます。
原則として股関節の曲がる可動域や腰を伸ばすのを促しながら、姿勢・運動パターンを修正することが重要となります。
腰椎椎間板ヘルニアでは背中を丸くした姿勢や無理な背すじの伸ばし方をして、正常なパターンを崩していることが多いので、まず姿勢・運動パターンを治していくのが最初です。
また、痛みを誘発するような運動は極力しないですし、腰椎椎間板ヘルニアの増悪にもつながるのでよほどの理由がない限りは痛みが出現しない範囲で行うのが理学療法士にも必要な技術となります。
私も臨床で腰椎椎間板ヘルニアの症例を担当したことはありますが、痛みや不安に際しては十分に注意を払って行いますね。
外来リハビリでは特に患者さんが来院されなくなるので、無用な負担はかけないのが鉄則です。
このように、運動療法では患者さんの状態に配慮したうえでリハビリを行いますし、不安のある患者さんには少しでも不安が軽減されるようにコミュニケーションをとって質問や悩みに答えます。
さて、では具体的に保存療法による運動療法と、術後の運動療法だと何が変わってくるのか?
それぞれ分けて紹介していきましょう!
腰椎椎間板ヘルニアの保存療法や手術に関する記事はこちらを参考にどうぞ!
保存療法による運動療法の目的・内容
保存療法とは主に手術をせずに薬や機械、運動で治療していくことです。
基本的に腰椎椎間板ヘルニアの状態が悪くなければ運動療法の適応になるので、激痛で運動もできないような患者さんの場合は外来診療でもリハビリは難しいです。
そのため、術後患者よりも状態は良いものの生活や仕事には困っている方が主となりますね。
さて、保存療法における運動療法では、崩れた姿勢や動作を修正していくことです。
例えば立ち上がったりするときの座っている位置、体幹や下半身の使い方、頭の動かし方などといった細かい部分に着目していきます。
その上で、生活や仕事、趣味などで困っていることについても問診を行って原因を理学療法士が推察していくのが流れです。
理学療法士はこの問診や評価を通じて、弱っている筋肉や硬い関節、正しい動作の習得をメインにリハビリを行って改善を促します。
そして、患者さんの最終的な治療目標は生活や仕事などの支障が改善されることなので、生活指導や病院に来れないときの体操などを教えて可能な限り再発しないことが目標です。
なので、保存療法のリハビリ、運動療法では可能な限り元の生活と同じ過ごし方ができるようになることを医師・理学療法士は心掛けているのです。
施術時間は20分~40分で病院によります。
単純に筋力強化や柔軟性の改善だけではないんですね!
手術後における運動療法の目的・内容
手術後のリハビリは、多少保存療法のリハビリと変化が出てきます。
手術の方法にもよりますが、術後初日からではなく数日~一週間など経過してから運動療法を開始するケースもあります。
その理由は、手術した組織の治癒期間があるからです。
組織の状態が不安定な場合でのリスクが強いですし、血圧や脈拍などの変化も年齢や持病によって様々なので注意が必要となります。
では、手術後のリハビリの目的は何なのかという?
これは病院からの早期退院・生活復帰となります。
外来リハビリの目的と同じなのでは?
と思う方もいるとは思いますが、少し理由が変わってきます。
手術後は症状が大きく改善されることがメリットですが、問題は治癒期間中に生じた体幹や下半身の筋力低下です。
これが何に影響するかというと、退院後における本人の生活が苦しくなることがあります。
例えば、
退院したけど以前より歩く速度が遅くなったし距離が少なくなった。
階段や立つのにも一苦労。
体力が目に見えて落ちたなど
様々な弊害が退院してから実感されます。
そのため、病院のリハビリテーションでは動作指導や対策よりも主に歩行距離や時間、生活における必要な動作が可能か不可能かの判断で能力を決めます。
運動内容としても、歩行訓練や階段昇降などの生活動作訓練がメインとなるのです。
どうしても外来リハビリとは違い、入院中のみのリハビリとなるので生活復帰のための訓練だけをすることが多いのも事実ではあります。(通院による外来リハビリ併設ならその限りではありませんが・・・)
また、施術時間は1時間だったりと長いですね。
がっつり良くなるまで入院してリハビリできるわけではないんですね・・・
リハビリには期限が設けられており、病院なら3ヶ月が多いと思いますので、3ヶ月以内に退院を目指すとなると必要な訓練だけで終わる可能性もあります。
まあ理学療法士全体がそうとは思いませんが、どうしても効率重視みたいになる部分もあるでしょう。
佳吾さんはどういうリハビリなんですか?
私はクリニックでずっと働いているので、一回のリハビリ時間も20分と短いです。期間は5か月ですが、それでも毎日なわけではないので病院のリハビリよりも少ない回数で結果を出さなければならないので質が問われますよー
え!20分!?
短いし結構大変ですね!
問診とか評価を入れると実質10分とかくらいですかね?
クリニックは頭の回転早くないときついですよ(笑)
私ももっと仕事効率あげたいので頭の回転早くします!
いや、療子さんは職種が違うような・・・
腰椎椎間板ヘルニアでの具体的な運動内容
腰椎椎間板ヘルニアで運動を行う目的は
- 筋力と柔軟性の回復
- 動作時や腰椎・骨盤の負担を減らすための適切な姿勢の学習
- 再発予防のための習慣
このように理学療法士による筋力の回復だけが運動療法の役割ではありません。
腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防するためのセルフエクササイズ、元の生活に近づけるための生活習慣などを提供していきます。
では、どんな運動を具体的にしていくのか?
詳しく紹介していきますね!
腰椎・股関節などの可動域拡大運動
日頃の生活や手術後の影響によって腰や股関節、膝関節などの動きが小さくなってしまうことは大きく影響します。
関節に影響を与えるものとして、関節の細かい組織はありますが、主に筋肉の影響が多いです。
- 腰椎→脊柱起立筋群、腰方形筋、腹直筋
- 股関節→大殿筋、ハムストリングス
などが主に関わってきやすいです。
腰椎椎間板ヘルニアではその原因となる異常姿勢や歩き方によって上記の筋肉の柔軟性を低下させてしまいます。
そのため、関節の可動域を広げるために筋肉の柔軟性を出していかなければなりません。
腰椎・骨盤部を安定させるための筋力強化
腰椎椎間板ヘルニアではもちろん筋力をあげていくためのトレーニングも行います。
腰の疾患で問題となるのは腰の強さです。そのため、腰周りの筋肉、股関節周りの筋肉を中心に鍛えていきます。
この理由としては、腰椎を安定させる力がないこと、術後におけるコルセットなどでの固定期間によって生じた筋力低下をカバーすることです。
また、歩く力や立ち上がりなどの能力も回復していかなければなりません。
そのため筋力強化が必要になってきます。
主に強化する筋肉は
- 腹横筋
- 腰部多裂筋
- 腸腰筋
となり、腰部に関わる筋肉を重視していくことが多いです。
腹横筋と腰部多裂筋は背骨の一部である腰椎の安定性を高めて保護する働きを持っています。
また、腸腰筋も同様に腰を守りますが、股関節とつながっているので足の運動と関係性が強いです。
それぞれの筋肉の内容について知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
上記の腹横筋や多裂筋、腸腰筋を鍛えることで腰の負担を軽くしていくとともに、歩行や立ち上がりなどの動きにも変化を与えていきます。
筋力強化から動作につなげていくことも目的となるので、安易に筋トレをするわけではないです!
筋トレだけだったら理学療法士である必要がありませんものね!
そうですね。我々は動作や能力の回復・向上が目的になるので筋トレだけでは責務は果たせません。
なので、筋力強化といっても結局は歩行や姿勢に関わってくるのですよ。
腰椎椎間板ヘルニアの原因となりやすい動作や姿勢の修正
上記の関節の可動域訓練や筋力強化の効果を最大に生かすこととなるのがこの動作・姿勢修正訓練です。
手術後のリハビリ、外来でのリハビリどちらでも多く行っていく運動療法の一つとなります。
腰椎椎間板ヘルニアによって生じた筋力低下や、術後における長期安静によって生じた体力低下で異常な歩行、間違った立ち上がりなどが出現することが多いです。
そのような歩行や立ち上がりなどの動作訓練を補助具や鏡などを利用して正常な動作を習得していくことが目的となります。
この動作訓練は長期にわたってリハビリを行っていき、運動パターンを習得していきますがなかなか正常通りにうまくはいきません。
そのため、患者さん本人とセラピスト両者に根気が必要となりますが、リハビリの訓練の中では一番達成感や自信を得ることができます。
例えば
- 正しい姿勢が身に付いたことで痛みなどが出なくなって仕事を長時間中断せずにできるようになった。
- 退院後、痛みをほとんど気にせず買い物やお出かけができるようになった
- 趣味をあきらめずに済んだ
などのような変化が現れることもあります。
このように、姿勢や動作の修正を行うことで腰椎椎間板ヘルニアで困っていた問題が改善されていくのです。
長い目で効果を実感していくことで生活にも良い結果があらわれるんですね!
【結論】腰椎椎間板ヘルニアでは正しい運動を行うことでも改善も可能!
お疲れ様でした!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
腰椎椎間板ヘルニアの運動内容は理解できたでしょうか?
生活復帰・職場復帰を目的の上で筋力や体の柔軟性をあげていくんですね!
理学療法士さんはけっこう将来を考えて運動療法を処方しているのはびっくりです!
リハビリのスタッフの本質は身体機能の改善だけではなく、生活へのアプローチとなります。
そのため、最終的な目標も動作や生活内容の改善となりやすいんです!
将来設計が具体的なのでリハビリで患者さんに内容を伝えるのにも根気が必要そうですねー
患者さんと二人三脚で行っていくので、セラピストだけが先走ってはいけませんからね。
患者さんに合わせて、そしてメンタル管理もして最後まで一緒に走って達成するのが我々の仕事なのでそうだとは思います。
リハビリをする理学療法士やその他のセラピストについて興味がある方はこちらの記事も参考にどうぞ!
というわけで今回がここまで!
お疲れ様でした!
またお会いしましょう!
【整形外科】腰椎椎間板ヘルニアで行う運動ってどんなことをするの?【リハビリ】の参考文献
監修/奈良勲,編者/吉尾雅春.標準理学療法学 専門分野 運動療法学 各論 第2版.医学書院.2007. 283P.
監修/落合慈之,編集/稲川利光.リハビリテーションビジュアルブック.学研メディカル秀潤社.2011. 109P.
編集/柳澤健.理学療法学ゴールド・マスター・テキスト2 運動療法学.メジカルビュー社.2011. 325P.
編集/対馬栄輝.筋骨格系理学療法を見直す はじめに技術ありきの現状から、どう新展開するか.文光堂.2011.266-267P.
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