痛みの緩和や可動域を拡大するのに必要な治療、それが運動療法です。
今回は五十肩になった際に行う運動療法について紹介していきたいと思います!
インナーマッスルとかが分かっても鍛え方が分からないなー・・・
仕事中でもできる運動方法や鍛えるところはあるのかしら・・・
そもそも何を鍛えれば痛みが緩和されるの?
などなどのような悩みや疑問を解消していくのがこの記事の特徴となります。
また、人体について興味がある人などもぜひ参考になれば幸いです!
五十肩について他に知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
肩関節全体に関わる筋肉の鍛え方について
肩関節の筋肉を鍛えるといってもどこを鍛えていいかはすごい悩みますし、方法もわかりませんよね?
この項目では肩関節の筋肉のどんな部分について鍛えていけばいいかを紹介していきたいと思います!
肩甲下筋による前方安定化の回復
肩甲下筋は肩甲上腕関節において前方の脱臼などを防ぐ重要な筋肉です。
インナーマッスルの一つでもあり、肩の可動域を回復したり、結滞動作などができるようになるには大切な筋肉となります。
この肩甲下筋は肩を内側にひねる筋肉でもありますが、通常のワキを体にくっつけた状態ではなかなか活躍してくれません。
そのため、下記のような方法が必要となります。
肩甲下筋の運動方法
肩甲下筋は通常のひねりではうまく動いてくれません。
そのため、壁などの肘を固定できる部分が必要です。
まず、壁に対して肩を横に開き、そのまま肘を付けて固定します。
肘を固定して付けたら、肘を壁などに押し付けたまま自分のワキを触るように肩をひねります。
ただ、これだけです。
ポイントは、肘を絶対に固定するということです。
肘が少しでも離れてしまうとインナーマッスルとしての役割が無くなってしまい、他の筋肉でも支えながら行わなければならなく効果が薄くなってしまいます。
そのため、必ず肘が壁から離れないようにするのがこの運動のコツとなるので意識して行いましょう!
棘下筋による肩甲上腕関節の安定化
棘下筋は外旋筋のなかでも棘上筋とおなじくらい重要な筋肉となります。
そのため、五十肩の治療では棘下筋の促進は大切であり、可動域のや痛みの回復にも関わってきます。
ただ、肩を外側にひねる筋肉でもなかなかうまく鍛えられない人が多く、他の筋肉によって代わられてしまう場合も多いです。
棘下筋の運動方法
棘下筋では、壁を使ったり、ゴムチューブを使ったり様々な運動があります。
なかでもゴムチューブを使った運動が多いのですが、ここでは壁を使ったトレーニングを紹介していきたいと思います!
まず、肘を「小さく前へならえ」のようにワキを締めて直角にしましょう。
このとき、絶対にワキを体から離さないように!
そして、そのまま壁に手の甲を付けて押し付けましょう。必ずワキを体に締めておいてください。
この運動を好きな回数を反復して行ってください。
これにより棘下筋が鍛えられます。
ポイントはかならずワキを締めておいて、行うことです。
ワキが離れてしまうと肩甲下筋の運動同様、インナーマッスルとしての役割が薄くなってしまうことに注意!
棘下筋を鍛える際はあまり力みすぎず、軽めの力で行うのが必要な意識となるでしょう。
うちわなどを握って行うと意識しやすいかもです!
肩の運動に一番関与する棘上筋
棘上筋は、肩甲上腕関節において非常に重要な役割を担っています。
それぞれの筋肉については別記事に書いておりますのでここでは割愛します。
インナーマッスルなどについて知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
棘上筋を鍛えるのには三角筋と別にして鍛えなければなりません。
棘上筋を単独で働かせるポイントや運動方法を紹介します!
棘上筋の運動方法
基本的に棘上筋と三角筋は、一緒に働きますが単独で動かすのにコツが必要です。
まず、最初に手を通常通りにぶら下げておきます。
手をぶら下げることにより体の横に手がきますよね?
そのままコブシ3-4つ分を反復して開いてみましょう!
この時、肩の力を抜いて力まずに行うのがポイントです。
力を抜くって難しいですよね?
でも必要なんです。
インナーマッスルが働くコツは、できるだけ力を入れずに動かすのが最大のポイントとなります。
そのため、肩を横に開く際も力を入れて持ち上げようとしないことを意識して行っていきましょう!
これによって棘上筋の働きが以前よりも良くなると思います。
ペンギンのように小さくパタパタするだけでも効果がありますので是非やってみましょう!
前鋸筋による肩甲胸郭関節の安定化
前鋸筋は肩甲骨の安定化には必須の筋肉です。
この前鋸筋は肩甲胸郭関節においてのキーマッスルになりやすく、肩甲上腕関節の腱板をしっかり機能させるには前提条件として前鋸筋が働いていることになります。
そんな前鋸筋の鍛える、動かす最も簡単な方法を紹介していきます。
前鋸筋の運動方法
肩甲骨の裏全体にびたっと走っている筋肉、それが前鋸筋です。
前鋸筋の力の入れ方は腕立て伏せに似た動作で行います。
まず、壁もしくは床、テーブルなど安定するところに両手を付き、肘を伸ばしてください。
肘を伸ばしたら、ワキの下から意識して壁や床など手を付いているところを押し出すように力を入れましょう!
この時肘を曲げず、体重を乗せないで肩甲骨から押し出すように、もしくは手をもっと遠くへ手を伸ばすように意識していくのが大事です。
これを反復して運動することで前鋸筋のエンジンが少しづつかかり、動きが行いやすくなってきますのでしっかり行いましょう!
腕立て伏せの要領でしっかり行うと行いやすいですよ!
肩関節の可動域訓練
五十肩の運動療法では筋肉を鍛えるだけでなく、関節の可動域回復に伴う痛みの緩和も含まれます。
もともと五十肩だと自分で腕を動かすのがしんどい方は多いと思うので、理学療法士によるリハビリが必要になってくるでしょう。
そのときに行うのが関節可動域訓練です。
関節可動域訓練では硬くなった筋肉のストレッチ、リリースという緩める方法、関節包や靭帯のストレッチなども含まれます。
行う部位によって多少痛みが出ますが、患者さんによって「痛気持ちいい」という方も多いです!
そのあとに動かしてもらうと軽くなった感じや可動域が上がって生活への支障が減ることもあるので重要な訓練の一つとなります。
肩甲骨まわりのマッサージ
マッサージは血流を良くするためなどに行うことが多いと思いますが、五十肩の場合においては筋肉を緩めて運動をしやすくするための目的で行うことが多いとは思います。
私自身はマッサージをせずに治療していくのですが、基本的にマッサージで凝り固まった筋肉の動きをほぐしてから筋肉を鍛えたり、さらにストレッチを行うことが多いかと。
なので、マッサージをリラクゼーションとしての目的で行うのではなく、他の運動を円滑に行う際の潤滑油としての役割で行います。
マッサージを行う場所としては肩甲骨周辺の筋肉であったり、僧帽筋上部だったりなど様々です。
ですので、患者さんにあったマッサージを提供していくことになります。
生活でできる運動方法について
とは言っても、やはり病院で出来る運動では限界があるのも事実です。
なので、患者さん自身にも生活で気を付けることができることを紹介していきたいと思います!
肩甲骨の位置を姿勢から考える
五十肩にとって大切なのが肩甲骨の位置です。
この肩甲骨の位置がずれることによって筋肉の硬さに偏りがでたり、強い・弱いなどの筋肉に分かれてしまいます。
なので、筋トレをする前にこの肩甲骨の位置をしっかり気を付けて意識することから始めましょう!
- 無理に胸を張ってないか?
- 肩が内巻きになって腰も曲がってないか?
- 良い姿勢を取ろうと無理をしていないか?
これらの姿勢、意識が強いと肩甲骨周囲のバランスが崩れてきやすいです。
姿勢を良くしようと胸を張ることはありません。
骨盤を軽く起こして背骨を立たせるだけでよいのです。
ワキも締めずにもっとワキの下を楽にしましょう。
この姿勢の意識をするだけでも肩甲骨、腕の動きに変化がでやすいです。
運動が苦手な人もぜひ試してみては?
背骨と肩甲骨の動きを柔らかくする
運動もしたいという方はこちらも行ってみてはどうでしょうか?
まず、骨盤をかるく起こした状態にしていきます。
そのうえで、背骨と肩はそこまで意識しなくてよいでしょう。
肩・背骨・骨盤は特に連動しているので勝手に動くはずです。
動かない人はどこかに力が集中しているのかもしれません。
なので、力を抜いていくことから始めましょう!
骨盤を起こしたら、今度は逆に後ろに倒してみます。これを反復して少しずつ動きを大きくしていってください。
この骨盤の運動を繰り返すだけで肩甲骨の位置は動くので運動にもなります。
こうすることで無駄な力を入れることなく肩甲骨の体操が可能になるのです。
編集/石川齊,武富由雄.図解理学療法技術ガイド 理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて 第2版.文光堂.2007.738-740P
監修/奈良勲,編者/吉尾雅春.標準理学療法学 専門分野 運動療法学 各論 第2版.医学書院.2007.290-294P
監修/富士武史,共著/河村廣幸,小柳磨毅,淵岡聡.ここがポイント!整形外科疾患の理学療法改訂第2版.金原出版株式会社.2012.104,113P
編集/柳澤健.理学療法学ゴールド・マスター・テキスト2 運動療法学.メジカルビュー社.2011.308-310P
【結論】インナーマッスルは通常の筋トレでは鍛えづらい!
お疲れ様でした!最後まで読んでいただきありがとうございます!
肩関節の運動って意外と細かいんですねー。どうしても大きく動かして鍛えようとしちゃいます。
そうですね。ただインナーマッスルは動くのに適していない筋肉ですので、地味な運動で十分鍛えられるのが特徴です。
地味な運動で鍛えられればそれはそれでお得かも♪
そういう考え方もありですね(笑)
運動方法は他にもありますが、とりあえず基本的なものだけ紹介したので参考になれば幸いです!
それでは今回はここまで!お疲れ様でした!
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