症状が強くなるごとに身体能力が低下しやすい腰部脊柱管狭窄症。
今回は腰部脊柱管狭窄症で行うリハビリについて紹介したいと思います!
リハビリと一概に言っても、色々な内容がありますので項目によって分けて紹介していきますね!
リハビリで本当に良くなるのかなー・・・
リハビリに通うことになったけどいまいちどんな目的でやっているのか分からないわ・・・
などなど、リハビリが漠然としている方は参考にしていただければ幸いです。
リハビリで行うのはマッサージや筋力強化だけじゃない!
運動療法、ここでいうリハビリテーションとは単純にマッサージして筋肉をほぐしたり、筋力を強化するだけではありません。
腰部脊柱管狭窄症では痛みやしびれは神経を介して伴ってきますので、マッサージや筋力を強くするだけでは良くならないです。
そのため、様々な方法で理学療法士が患者さんを一緒に運動・アドバイスをしていきます。
腰部脊柱管狭窄症の運動療法では主に
- 筋肉、関節組織のストレッチ
- 筋肉強化訓練
- 姿勢再教育
- 連続歩行距離の延長
- 反り腰の改善
- 日常生活で負担の少ない動作練習・指導
を中心に治療していきます。
そのため、ある程度長い期間の中で患者さんと一緒にリハビリを行い、調子を確認しながら目標を達成していくのです。
この記事では上記のポイントたちをどのような内容で行っていくかをいくつか取り上げて紹介しましょう!
ここからは運動内容や目的を説明していきますね!
パフォーマンスを引き出すための筋肉・関節組織のストレッチ
ストレッチと聞くと、筋肉を柔らかくする印象が強いと思います。
その通りでもありますが、運動療法でストレッチをする目的というのは単純に筋肉や関節組織の柔軟性をあげていくだけではありません。
リハビリにおいてはストレッチはあくまで歩行や立ちしゃがみのような動きの効率性を発揮するためなのが目的です。
また、筋肉の血液循環を促進して痛みの物質を排出して楽にするのも目的として存在します。
腰部脊柱管狭窄症でストレッチすることが多い身体部位は
- 大腿直筋
- 脊柱起立筋
- 長内転筋、大内転筋のような股関節内転筋群
- 大腿筋膜張筋
- 腸腰筋
- 腰椎の後方関節組織
などに行うのが主となります。
腰部脊柱管狭窄症では反り腰になる傾向が強いため、そのうえで特に上記の筋肉や組織が硬くなって悪化させることが多いです。
そのため、大腿直筋や内転筋群などをストレッチすることで反り腰がひどくならないように、体を動かしたときに痛みを減らすように心掛けています。
大腿直筋や脊柱起立筋を知りたいかたはこちらの記事も参考にどうぞ!
姿勢改善や腰痛軽減を行う筋肉強化訓練
筋肉強化というと、ムキムキに大きくするイメージがあると思いますがリハビリではそんなことはしません。
運動療法では痛みのある動きや姿勢を改善するためにどこの筋肉を鍛えていけばいいかを考えるのが目的です。
ムキムキマッチョになっても腰痛やしびれが軽減されなければ意味がないですし、医療費の無駄になりますからね!
腰部脊柱管狭窄症では反り腰になりやすいと説明してきました。
そこで、鍛えるべき筋肉はというと
- 腹横筋
- 大殿筋
- ハムストリングス
- 中殿筋
- 腹直筋・腹斜筋
- 腸腰筋
となります。
その患者さんの筋力や全身状態によって多少の差はでてくるとは思いますが、腰部脊柱管狭窄症においてこれらの筋肉はポイントともなりやすい筋肉です。
例えば、腹横筋であるならばコルセットの役割をするため前方に反った腰を押しとどめてくれるので反り腰を減らすのに適しています。
大殿筋であれば立ちすぎた骨盤を適正な位置まで戻してくれる作用もあるので必要な筋肉です。
このように筋肉によって関節や腰、骨盤への影響を与えるため、筋肉を強化するのは根本的に大切なポイントにもなりえます。
逆に、鍛えていけない筋肉は
- 脊柱起立筋
- 大腿直筋
- 大腿筋膜張筋
- 内転筋群
- 腰方形筋
などが当てはまります。
そのため、筋肉強化訓練では鍛えるべき部分をしっかり選んでいき、効果を確認して継続していくのです。
脊柱起立筋はそもそも体幹・腰を後ろに反らしていく筋肉のため、鍛えてしまうと逆に反り腰を強めて症状を悪化させてしまいます。
大腿直筋も膝の筋肉ですが、骨盤を前方に引き寄せて立たせる役割もありますので同じように反り腰を悪化させます。
このように反り腰を強めてしまい、腰部脊柱管狭窄症の症状を悪化させかねない場合もあるので上記の筋肉は鍛えないことがほとんどです。
筋力強化は何でも鍛えればよいというわけではありません。そのため、理学療法士は患者さんの体を評価して、どのような状態を確認しつつ訓練を行い、動作練習・指導、姿勢改善とつなげていくのが筋力強化訓練の目的となります。
筋肉について他の記事でも紹介しているので興味があるひとは参考にどうぞ!
姿勢の感覚や注意を促す姿勢再教育
先ほどは筋肉を強化するだけでは痛みやしびれの改善につながらないとお伝えしました。
筋肉を強化する目的はこの姿勢改善などにもつながり、日常生活においての負担が少なくなるように過ごしてもらうのが目的です。
姿勢再教育というと、小難しいイメージがありますが簡潔に言うと姿勢矯正となります。
ただ、簡単に姿勢矯正といってもすぐには治りません。
例えば
- 自分が座っている姿勢は正しいのか?
- そもそも適切な立ち姿って何なのか?
- 他人から見て自分はどう映っているのか?
などのように意識的に考えると分からなくなることがほとんどです。
そのため、リハビリでは座っている姿勢や立ち姿などを理学療法士が評価し、正常の姿勢からはずれている部分を修正して説明してくれたりします。
自身の姿勢感覚と正しい姿勢感覚がずれていることは多くの人が持ち合わせていることなので、可能な限り修正して負担の少ないように治していくのです。
なので、リハビリでは理学療法士が口頭で指示を出してみたり、触れて位置を修正したり、鏡を利用して自分で意識して姿勢を変えていくなどの様々な方法で行っていきます。
このように、単純な姿勢改善といっても細かく指導していくことで、患者さん自身にも理解してもらい日常生活でも生かせるようにしていくのが目標となるのです。
理学療法士さんがこと細かに自分の姿勢を指摘して治してくれるのは非常にありがたいですね!
自分では感覚が分からないので大助かりです!
外出などの支障を無くしていく連続歩行距離の延長
連続歩行距離とは、歩き始めたら止まるまでどれくらいの距離・時間を歩けたかというものです。
連続歩行距離を記録する必要性はかなり重要で、色々な場面に適用されます。
- スーパーなどの買い物先に到着するまでの時間や距離(往復も含めて)
- 通院先の病院までの歩く時間
- 通勤時間・通学時間
- 友人宅までの移動時間
などキリがないほど挙がります。
この連続歩行距離の練習は手術後のリハビリで特に考えられる検査です。
手術後は体力も落ちており、また手術で切った場所の痛みやしびれの具合も関係してくるので身体の状態を踏まえて連続歩行距離を算出します。
そのため、連続歩行距離はリハビリでも退院や生活復帰の目安にもされやすく、約2㎞歩ければ生活において不自由が少ないと判断します。
2㎞歩ければだいたい買い物先などの身の回りは支障がほとんどありませんね!
腰部脊柱管狭窄症の原因となりやすい反り腰の改善
反り腰改善は容易ではなく、単純な筋力強化だけでは改善されません。
そのため、上記の説明したような筋力強化以外にも意識的な姿勢再教育、筋肉の使い方、日常生活での注意点など様々な方法で駆使して反り腰改善に挑みます。
反り腰を改善するには腰椎自体をいじるだけでなく、骨盤や股関節、場合によっては膝関節も治療していかなければならない時も患者さんに応じて必要です。
そのため、反り腰、骨盤前傾姿勢がどの関節・筋肉などから原因としてきているのかを評価して、見ていきます。
骨盤や背骨のことを知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
日常生活で負担の少ない動作練習・指導
リハビリにおいて一番患者さんが必要なのがこの動作練習・指導。
腰部脊柱管狭窄症などの腰痛疾患を持っているかたは総じて動作や荷物の持ち方などに問題があります。
そのため、運動療法においては日常生活での負担をできるかぎり少なくするため動作・姿勢に関して色々なアドバイスをします。
たとえば、
- 重いものの運搬:腰を曲げすぎないように膝を曲げてしゃがみ負担を軽減する
- 料理の姿勢:腰を曲げずに行えるように雑誌などの台を置いて片足を乗せて行う
- 掃除機をかける:かける際に腰をまるめて行わない
などのようにリハビリ中に問題のある動作を聞いたり、見たりして理学療法士がアドバイスを行うことが多いです。
運動療法・リハビリの目的は痛みをとることも大事ですが、根本的に症状の原因を解決するのが目的なので日常生活へのアプローチは必須となります。
そのため、理学療法士は患者さんの生活にも寄り添い、運動してアドバイスをしてニーズに応えていくのです。
腰部脊柱管狭窄症の術後リハビリで気を付けていること
腰部脊柱管狭窄症の手術後の後は、身体への負担も大きく手術前のような動きはできません。
また、ベッドのうえでしばらく安静にする場合も多く、すぐに歩いたりすることはあまりないでしょう。
その中で気を付けなければならないのが
- 深部静脈血栓症
- 転倒
- 手術した金属が外れる
この3つです。
この3つのポイントは、退院期間や日常生活での不自由さに大きく影響を与えます。
そのため、医師・看護師・理学療法士などのリハスタッフらはリスク管理に十分注意を払って患者さんの治療をするのです。
術後リハビリにおいては、上記のポイントに関して細心の注意をして行います。
- むやみにふくらはぎのストレッチをしない!
- 立ち上がる際や歩く際に目を離さない!
- 術後は患者さんに体を深くかがませない!
- 体力や痛みを無視して運動療法を行わない!
などなど様々です。
このように、術後における運動のリスクは高く、リハビリでは状態が安定するまで一切気を抜けません。
そんなリスクを回避しながらでも患者さんの生活・社会復帰をしていくのがリハビリの目的であり、本質ともいえるでしょう。
リハビリについて知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
【結論】様々な運動・訓練を通して患者さんは元の生活へと復帰する!
お疲れ様でした!最後まで読んでいただきありがとうございます!
リハビリってやっぱり大変なんですねー
歩いたり、付き添うだけなイメージが強かったです。
それはあると思います。でもリハビリは実際きついという患者さんも結構おられますし、イメージが変わった方も多いですね。
筋力強化だけでなくてちゃんと日常生活に直結させていくのはなるほどと思いました!
トレーニングではそこまで考えませんもんねー
そうですね。なので医療機関のトレーニングはジムなどとはやはり本質が違うので厚みがあります。
皆さんも健康意識でそこまで高まってくれればうれしいです!
というわけで今回はここまで!
また次回お会いしましょう!
お疲れ様でした!
腰部脊柱管狭窄症で行う運動療法の内容について紹介!の参考文献
監修/落合慈之,編集/稲川利光.リハビリテーションビジュアルブック.学研メディカル秀潤社.2011.103P
編著/整形外科リハビリテーション学会.改訂第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹.メジカルビュー社.2014.294P
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