骨盤は人のほぼ中心にある骨のことですが、皆さんはこの骨盤のことについてどれくらい知ってますか?骨盤矯正ダイエットやコルセットなど巷では色々開発されてますが骨盤についてはそれほど説明されることはありませんよね?
今回は骨盤を構成する骨や関節、機能、運動について紹介していきます!
- ヨガなどをやってるけどいまいち骨盤が分からない
- 骨盤自体のことを詳しく知りたい
- 運動や勉強の参考にしたい
- 姿勢を良くしたい
骨盤の解剖はどうなっているか、機能は何をもっているか、骨盤はどういう動きをするのかを紹介していくとともに腸骨・坐骨・恥骨について、仙腸関節について、男女における骨盤の違いについても説明していきます!
安定した骨盤を構成する骨
さて、皆さんは骨盤というのはどんな形をしていて、どんな骨たちが関わるのか知っていますか?骨盤というのは「骨盤」という骨があるわけではありません。
骨盤とは両側の寛骨という骨と背骨の仙骨から作られる輪っかの形をした構成体となっています。左右の寛骨からなる部分を骨盤帯と呼び、この骨盤帯を仙骨によって骨盤輪という安定した輪っかを形づくってくれます。
この骨盤帯、骨盤輪がくっつくことによって輪っか状の形になり、両足の付け根であるとともにお腹の内臓を下から支える受け皿の役割もこなせるのです。
そして骨盤は上方で腰椎と、下方で対になった太ももである大腿と関節をつくります。
骨盤の形を作る寛骨
骨盤の形を作ってくれる一部の骨である寛骨。
この寛骨はもともと腸骨・恥骨・坐骨という3つの骨がくっついたものとなります。左右の寛骨は前方では恥骨、後ろでは仙骨と連結することで骨盤を形成します。
寛骨の見た目には3つの特徴があります。
大きな扇状の形をした腸骨翼。これは寛骨の上半分を形作っている部分です。この腸骨翼の真下には寛骨臼という深い鉢の形をした部位があり、ももの骨である大腿骨と一緒に股関節を形成してくれます。
寛骨臼は大きなカップ形をしており、股関節のソケットの役割を担っています。この寛骨臼も腸骨・恥骨・坐骨で出来ていて腸骨と坐骨が80%、恥骨が20%の割合となっているのです。
骨盤の翼の部分となる腸骨
腸骨とは大きく2つの部分に分けることができ、寛骨臼の形成に関与する腸骨体。翼のように広がっている骨盤上部で丸みを作っている部分を腸骨翼といいます。
体幹筋の付着部となりやすい腸骨稜
さて、皆さん腰の横に手を当ててみましょう。手を当てて最初に触れられる固い部分、これが腸骨翼となり、そして腸骨翼の中でも山の稜線のようになっていることから腸骨稜と名付けられています。腸骨稜のこの山は外側を外唇、真ん中を中間線、内側を内唇と呼ぶ筋肉の付着部です。
また、この腸骨稜では左右の腸骨稜の頂点を結ぶ線をヤコビー線といい、臨床現場では骨盤の高さの違いや触診の指標にも使われます。
ヤコビー線は左右の腸骨稜を結ぶことで腰椎の4番目の棘突起を通過することから触診で利用されます。ヤコビー線を基準に棘突起を順番に触っていくことで何番目の椎骨の動きや問題があるかを評価できるので臨床家からは有名です。
触りやすく股関節筋と関わりやすい腸骨棘
この腸骨稜からどんどん前に沿って触っていくと突起みたいに少し飛び出た部分にぶつかります。これは腸骨の中でも最も前方で触れる上前腸骨棘です。さらに下って触ると2つ目の突起、下前腸骨棘が触れます。
次は後ろに触っていきましょう。腸骨稜から後ろにいくと触りにくいですが少し突起のようなものがあります。それは上後腸骨棘、さらに下がると下後腸骨棘という部分にあたりますね。これらの一部も筋肉の付着部の役割をします。
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腸骨の内側と外側
さて、形をつくる腸骨の外縁はこれまでにして、次は腸骨の内側と外側にいきましょう。
腸骨は横から見た時に少し平坦な感じが見受けられます。腸骨の外側もしくは後ろ側はお尻の部分にあたって、骨はお尻の筋肉で触れません。しかし腸骨の後方は仙骨との連結をしてくれる部分になり、仙腸関節にしてくれます。
逆に腸骨の前方は滑らかなくぼみが出来ており、これを腸骨窩といいます。
また、腸骨体では寛骨臼の一部を形成する役割を担うので股関節と関係してきますね。
骨盤輪を完全なものにする恥骨
恥骨はほとんど触れるところはなく、触れるにもデリケートな部分になってしまうところになります。
恥骨は恥骨体・恥骨上枝・恥骨下枝からなっており、骨盤の閉鎖孔の境界をつくります。
衝撃を吸収する恥骨上枝
恥骨上枝は寛骨臼の前方から大きく平らな恥骨体まで前方に伸びています。上面には恥骨櫛(ちこつしつ)、前方には恥骨結節が突き出して鼠径靭帯の付着部として機能します。
これによって2つの恥骨は恥骨結合によって真ん中で結合して骨盤輪の前面を完全なものにし、歩行・出産時の衝撃・負荷を軽くしてくれるのです。
役割がすくない恥骨下枝
恥骨下枝は恥骨体から後方へ伸びて坐骨との連結部まで伸びます。
それ以外の役割は特に見つけられていません。
神経・血管の通過部位である恥骨体
恥骨体は、恥骨上枝・恥骨下枝の根本になる部位です。恥骨体自体には特に役割をそんなに持ちませんが、恥骨上枝を腸骨体に、恥骨下枝を坐骨枝に連結させるための体部といえるでしょう。
これにより閉鎖孔を形成することで太ももの内側の骨盤腔から閉鎖神経と血管の通過部位を表します。
複数の機能を有する坐骨
主に座ったりする時に活躍する坐骨。この坐骨は坐骨体と坐骨枝に分けられます。
この坐骨体の後下方に広がる長い楕円形の膨隆部を坐骨結節と呼び、体重を支持する部位です。
坐骨枝では恥骨下枝とともに閉鎖孔の下の境界を形成しています。この坐骨枝は坐骨結節の前方から起こり恥骨下枝とつながって終わる。
坐骨棘は坐骨の後方から突き出ています。
腸骨と関係する坐骨棘
坐骨体の後縁から突出している鋭い坐骨棘。これは大坐骨切痕と小坐骨切痕に分けられます。
この大坐骨切痕は坐骨の後ろから突き出しており、小坐骨切痕は坐骨棘の真下に存在している。
大坐骨切痕の一部は坐骨によって、他の一部は腸骨によって作られています。小坐骨切痕は浅いくぼみとなっているのです。
複数の機能を有する坐骨結節
寛骨臼の後ろ下から突き出ている大きくて頑丈なのが坐骨結節です。
この坐骨結節は一番簡単に触れられる部分です。お尻に手を当てた状態で座って手の上に乗ってみましょう。
コリコリ尖った部分が当たりませんか?座った時に手が圧迫されて痛かったらそれは坐骨結節でしょう。
この坐骨結節は体重を支える役目が主な機能ですが、坐骨結節には複数の機能を兼ねています。
- 主要神経である坐骨神経の保護
- お尻と太ももの大きな筋肉の一部の付着部
- 広い範囲の靭帯の付着部
- 体重支持
このように坐骨結節にはいくつもの機能があります。
お尻と太ももの筋肉が関わってきますが、主に
上記のように複数の沢山の筋肉が集まって付着しています。
臨床ではこの坐骨結節を触って座った時の圧力のかかり方でどっちに傾いているかなどを評価します。
また、坐骨結節にはセンサーとしての役割もあるので論文も複数発表されています。
安定性に重きを置いた仙腸関節
仙腸関節は、寛骨と仙骨それぞれの面が関節面となり構成されています。仙腸関節の周りは非常に強力な靭帯により補強されているため、運動は強く制限されています。
仙腸関節は個人差が大きく、独特な形態を持つ関節です。形としては後ろ開きのL字型で、全体的に仙骨の関節面がへこんでおり、腸骨の関節面が仙骨にはまっていく形となっています。
しかし関節面はきれいに整っているわけではないので摩擦が強く他の関節よりもずれたりする可能性がとても低いです。さらに関節包という関節の膜でほとんど動かないように出来ており、これが安定性を維持する構成として言われる所以であり、仙腸関節の特徴にもなります。
ではなぜこのような特徴が仙腸関節に備わっているのでしょう?
仙腸関節は体の軸の骨格の底面、下半身の骨格をつなぐ部分です。独自の機能を担うためにユニークな構造的な特性を持っていますね。
前述したとおり、安定性を優先された構造です。ですが運動が全く無いというわけではありません。
仙腸関節の可動域は著しく制限はされていますが、基本的にはごくわずかな回転運動と横方向の運動が可能で二次的に運動に関与することが可能です。
それゆえに脊柱と下半身、地面との間の効果的な負荷・衝撃を伝達を確実にするのです。
そのため骨盤輪を安定させるためには仙腸関節が要石の役割となります。
胎児がお腹にいる時に骨盤輪が開かないといけないからだと思います。
安定・支持・保護などの骨盤機能
下記にまとめてみました。
- 女性にとっての産道の働き
- 腸や膀胱などの臓器を保護
- 脊椎を支える
- 上半身の重心を下半身に伝える荷重伝達機能
女性にとっての産道の働き
女性にとって骨盤は産道の働きを持つのと同時に、性機能や出産に関与する内臓の管が通過するため内臓腔としても機能します。
産科学という分野においては、骨盤内・外の計測値は分娩が可能か不可能かを決定するために重要です。これによって出産時の潜在的危険度を知ることが可能となています。
体幹から下半身への荷重伝達機能
骨盤は脊柱を支えるのと同時に上半身の重心を下半身に伝える要となります。
骨盤は体幹と下半身の筋肉の付着部となり、立っているときもしくは座っている時に上から加わる体重を伝達している。
直立姿勢をとっている時には頭・腕・体幹から加わる重さを第5腰椎と椎間板を介して仙骨に伝えます。その重さは両側の仙腸関節を通して大腿骨に分散されます。
座っているときはお尻が重さを支えますね。なので座っている時は仙腸関節を通して坐骨結節に分散されるのです。
様々な動きが可能な骨盤の運動
骨盤は基本的に前後左右、ひねりと縦横無尽の動きが可能です。
しかし、骨盤は通常の日常動作において大きく前や後ろに傾いたりすることはないので、運動も大きな可動範囲を行う必要はありません。
実際、骨盤の傾きは水平から約5°下に向き、左右のひねりには各4°、合わせて8°生じます。
骨盤の移動は重心の移動として同様に扱われます。重心は骨盤内に存在し、第2仙骨の少し前に存在するんです。
これは男女で微妙に高さが異なり、男性では身長に対して下から約56%、女性では約55%の高さにあるといわれています。
この骨盤の重心は骨盤の動きによって移動しますが、骨盤の動きは単純な運動ではありません。
両側の寛骨が同時に同じ方向に動く対称性運動、寛骨同士が異なる方向に動く非対称性運動です。
運動名 | 具体的説明 |
---|---|
対称性運動 |
体幹や両股関節が曲がると仙骨にもうなずくような前に傾く運動が生じる |
非対称性運動 |
片足立ちや歩いてる時の片足で支えてる時、非対称的な転び方をすることで骨盤に力が加わると仙腸関節に相反する運動が起きて骨盤の捻じりが生じる。 |
歩行における踵を着けた瞬間に床からの衝撃が骨盤の寛骨臼に集中します。そのため仙腸関節には体重と床からの衝撃が同時に迫るのですが、これを腰椎を介して仙骨に伝達させることで仙骨が前へ傾いてうなずき、腸骨に後ろ回転の力を与えて軽減します。
なので骨盤でも仙骨や腸骨がそれぞれ運動することで衝撃を緩和し、クッションの役割をするのは言うまでもありません。
男女における骨盤の違い
骨盤は男性と女性によって形、大きさも変わります。特に女性は出産という機能を持っていますので男性より骨盤が広く作られている。
下記に違いをまとめました。
- 円錐状の骨盤腔
- 長く幅の狭い仙骨
- 仙骨の凹面が浅い
- 仙骨体部は仙骨底より大きい
- 骨盤の前外側の壁は幅が狭い
- 大坐骨切痕は狭い
- 恥骨弓の角度が90°以上
- 坐骨恥骨板は強靭で反転している
- 坐骨は恥骨と比較して完全に長い
- 円柱状の骨盤腔
- 短く幅の広い仙骨
- 仙骨の凹面が深い
- 仙骨翼は仙骨底より大きい
- 骨盤の前外側の壁は幅が広い
- 大坐骨切痕は広い
- 恥骨弓が90°未満
- 坐骨恥骨板は虚弱
- 恥骨は坐骨と比較して完全に長い
男性の方ががっしりしているイメージですね!
結論:機能に共通はあれど性差によって大きく変わる
少し長くなりましたが骨盤のお話はこれで終わりです!
女性に出産する機能があるから納得できる形ですね!
これは骨盤が男性より大きいからそう見えるんだと私は考えています。
次回は脊柱と骨盤に関わる筋肉について紹介します!
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