背骨というのは絶妙なバランスによって成り立っているというのはご存じでしょうか?
脊柱というのは分けてみることで頸椎・胸椎・腰椎・仙椎と分けられます。ここではこの脊柱の頸椎・胸椎・腰椎それぞれに視点を当てて紹介したいと思います。
- 背骨を解剖から細かく知りたいかた
- 頸椎・胸椎・腰椎の仕組みをしりたいかた
- 運動や勉強などの参考にしたいかた
- 腰痛などの悩みで基礎から知りたいかた
頸椎・胸椎・腰椎それぞれがどのような仕組み、機能をもっているのかを意識して読んでいただけるといいと思います。
頸椎・胸椎・腰椎は全体像として脊柱と括られます。俗にいう背骨になりますが、この脊柱の役割は運動時の負担軽減や動きの自由度を確保するためにしなやかさが保たれています。
脊柱全体で見た場合はそのような機能を備えていますが、では頸椎・胸椎・腰椎を分けた場合にどうなるのでしょうか?それを各項目ごとに分けて紹介します!
頸椎は頭や生命維持の要!
頸椎は7個の椎骨、6個の椎間板、8個の椎間関節、靭帯によって連結されています。頸椎は胸椎・腰椎に比べると少し特殊な部分がみられ、椎骨の形や機能が特徴的なものが多いです。
それでは解剖と機能について見ていきましょう!
環状と軸を備え特殊化している頸椎の構造
頸椎の解剖頸椎は頭と体の間に存在しており、頸椎全体としては軽く前に反って弓なりになっているのが特徴になります。前に反っているため頭、首の運動は行いやすい構造になっていますし、椎骨間でも前縦靭帯・後縦靭帯が、脊柱管は黄色靭帯、後ろの尖った棘突起という間には棘間靭帯、強力な項靭帯により連結されているんです。
さて、ここでポイントとなるのは環状の椎骨と軸の椎骨の存在になってきます。
環状の椎骨は頸椎の一番上の部分になり、環椎という名称が付いています。環椎には椎骨の身体の部分無くて全体がリング状で真ん中のスペースが広く空いている状態です。
なぜこのような形になっているかというと、環椎の下に存在する軸椎が関係してきます。この軸椎というのは頸椎の上から二番目の椎骨となり、環椎のスペースに入れるための歯突起という歯の形をした突起がニョキっと上に向かって飛び出しているのが特徴です。
この環椎と軸椎が7個ある頸椎の椎骨の中でも著しく異なっています。
環椎の真ん中のスペースに軸椎の歯突起が納まることによって、環椎が頭蓋骨と下の頸椎の間でワッシャーの様な働きをしてくれているため頭の回旋運動のほとんどと屈伸運動が可能です。つまり左右に首を振ったりうなずいたりする動きができるのはこの環椎と軸椎がハマっているからなんですね。
この環椎と軸椎によって作られる関節の名前を環軸関節と言います。
またこの第一頸椎と第二頸椎を上位頸椎と呼び、それより下の頸椎は下位頸椎と呼びます。ちなみに7番目の頸椎は首の後方を触るとボコッと一個飛び出して膨隆していることから隆椎とも呼びます。
首の神経や脳を守る頸椎の機能
さて、頸椎の役割は何が求められるのでしょう?
基本的に頸椎の運動はこれら椎間関節の滑りと椎間板のひずみによって生じます。たとえば首を曲げて下を向く場合には椎間関節の上部の面が前に滑ります。首を反らす際は逆になります。
横にかしげる動きでは椎間関節の下部が後ろに滑ります。この椎間関節の滑りが円滑なことによって首のずれやポキポキ音が鳴らないのです。
そして環椎は後頭部を乗せてあげることと、頭から頸椎へ力を伝達することが仕事であり、靭帯や筋肉の付着部にもなります。軸椎は頭と環椎の負担を受けて下位頸椎へ伝えたり、頭と環椎の間の軸回旋を可能にしています。
そのため頭と首の横振りにおいては環軸関節で約50%が行われます。
下位頸椎は頭や上位頸椎による圧力を支えて頭部をまっすぐに保つことが必要なため、荷重負荷や安定性、可動性の機能を反映した特徴を持ちます。
頸椎の機能は運動の観点からは上記のような頭の支持性・可動性の機能を持っていますね。運動は多用で高頻度ですし、小さな椎骨、大きな脊柱管、大きな可動性をもつのが特徴です。
しかし頸椎は運動のみではなく生命維持に直結する脳幹という部分を保護しています。
脳幹とは、脳の一部である中脳・橋・延髄の三つの総称であり、呼吸などの生命にかかわる機能を司る部分のことを指す。
また、頸椎には脊髄の神経である頚髄も通っているため、頚髄も中に含めて守っています。
このことから、事故などによって首に大きな損傷を負うと脳幹がダメージを受けた場合は呼吸中枢がうまく働かなくなって呼吸が行いづらくなったり、頚髄は細かい手・指の運動を司りますので箸を持ったり、ピアノやパソコンのキーボード操作なども困難になってしまうのです。
そのため頸椎は日常生活では非常に大事な部位になることが容易に考えられますね。
肋骨とつながり呼吸に関わる胸椎
肋骨の動きと関係する胸椎の解剖・構造
胸椎部の特徴は、上下の椎骨とつながっているだけではなくあばら骨である肋骨とも関節を作っています。そのため背骨だけでなく、肺をしまっておくための胸郭を作って呼吸の動きにも関与しているのです。
胸椎は上から下に向かうにつれて次第に大きくなっていきます。胸椎が大きくなるにつれて丸い形が、横に長い楕円形になっていきます。脊髄が通るスペースはほぼ円形ですが、他の部位に比べると比較的狭い構造です。
また、頸椎と同じように高さによる分類がされており、胸椎の1~4番目がまでを上位胸椎、5~10番目までを中位胸椎、11~12番目を下位胸椎と呼びます。脊柱の中で最も数が多く、長いですが胸郭を形成している部分でもありますので動きは少なくなっています。
そのため胸椎全体として少し前方に丸くなっており、胸郭を吊っている状態にしているのです。
安定性の高さが認められる胸椎機能
胸椎は強固にされているため他の脊椎に比べると可動域が小さく、運動性も低いのが特徴ですが椎間関節の形状により身体の前後左右への曲げ伸ばし、ひねりがある程度許されてはいます。
これは胸椎の椎間関節間の滑り椎間板のひずみにより起こりますが、肋骨による固定も含まれるために運動する可動域が非常に少なくなるのです。
また、胸椎が胸郭の構成体であることで胸椎のみの運動に比べて前後の曲げ伸ばしで40%、左右の曲げ伸ばしで35%、ひねりで31%の安定性が認められていることが報告されています。
この安定性の高さから呼吸時も肋骨がうまく上下して呼吸が正常に行えたり、頸椎や腰椎に挟まれた状態でも身体を動かした時に上半身のバランスが崩れないのです。
身体運動、姿勢保持に重要な腰椎
脊柱で最も椎骨が大きくなる腰椎
腰椎は頸椎や胸椎とは違って頭や、胸郭などと連結していません。そのため単独で動くのには適している構造となっています。
腰椎は大きく、上からみた場合は横に広い楕円形の形をしています。加えて、脊髄神経は脊柱管の中を通っていますが途中から脊髄神経が外へ出ていく構造になっている。
腰椎全体は人間が直立歩行をしやすくなるように反り腰になっており、正常の腰椎の反り腰の角度は46~60°となっています。そしてこの直立を支えるために椎骨も下になるほど大きくなっていくのです。
腰椎の解剖は運動や支持性を中心にした構造になっているため頸椎・胸椎のような特殊化した部分は特にありません。そのため腰椎の構造上はほとんどの活動時に大きな負荷を支えているのです。
可動性が最も大きく、体幹の支持性を要求される腰椎
脊柱のなかで可動性が最も大きく、体幹の運動の大部分がこの腰椎で行われると同時に体幹の支持性が要求されます。
腰椎は身体運動の支点や土台として重要だけでなく前後左右への運動性も必要です。それに加えて神経
内臓の保護を行わなければなりません。
上記のことからも腰椎の機能・役割として
- 上半身の体重負荷
- 姿勢保持
- 体幹運動
- 脊髄・神経・内臓の保護
このように関与していきます。
基本的な腰椎の運動は椎間関節の滑りと椎間板のひずみにより生じて頸椎・胸椎と同じですが、腰椎の場合は椎間板の割合が多く依存しなければなりません。そのため身体を曲げると椎間板の前方に圧縮する力が頸椎・胸椎に比べて大きいので椎間板の負荷が大きいのです。
結論:生命維持・呼吸・運動には脊柱の存在が不可欠!
頸椎・胸椎・腰椎の簡単な内容は理解してもらえましたか?
次回のテーマはなんですか?
身体運動には欠かせない骨盤について解剖と機能をまた話していきますね!
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] […]
[…] […]