多岐にわたる知識や技術が必要な治療方法、それが理学療法です。
今回はリハビリテーションは意味が少し変わってくる理学療法について紹介していきたいと思います!
リハビリテーションとは何がちがうの?
リガクリョウホウ?そんな名前聞いたことないなー・・・
というような理学療法士としては悲しい疑問や悩みを解消していきたいと思います!(笑)
また、理学療法士自体に興味のある方もぜひ参考にどうぞ!
理学療法って何?
さて、今回は「理学療法」についてお話しをしていきたいと思います。
前回はリハビリテーションとそれに関わる業種についての大きな枠での説明をしました。今回はその中の「理学療法」を詳細に書きたいと思います。
「理学療法」とは?
その具体的内容は?
仕事の幅は?などを説明します。
リハビリについて知りたい方はこちらの記事も参考にどうぞ!
理学療法士が行う理学療法には様々な方法があります。
まず、理学療法の定義を見てみましょう!
「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」
「理学療法士及び作業療法士法」第2条
医療六法という中にはこのような法律があり、定義が示されています。
解釈すると、運動による身体機能改善や向上を狙ったり、症状を軽減したりしていきます。後半に記載してある物理的手段というのは機械で腰や首を引っ張ったりしていくようなことを指します。
基本的動作能力というのは起き上がり、寝返り、座っていること、立ち上がること、歩くことなどの人間が生きていく上で行動する際に必要なる最初の動作を指します。
理学療法ではこの基本的な動作から回復していくのがメインとなっていくのです。
みなさんも何かを思い立ったらふと立ち上がったり、座ったりしますよね?
そんな無意識的に、日常的に行っている動作が基本的動作能力に当てはまります。
上記のような「起き上がり」「寝返り」「立ち上がり」「座位」「立位」などのような日常的な動作を起居動作とも呼びます。
理学療法士が行うのはこの基本的な動作能力が低下してしまった患者さんに対し、どのようにして患者さん自身の能力を回復していくかを医師の指示の基に行います。
なぜ、医師の指示の基なのかというと、理学療法士には診断する権利はなく、診断行為そのものがご法度となるのです。
なので、医師が診断を下して、必要な運動処方、行ってはいけない運動などを指示として受け取り行うのが一般的です。
もちろん、理学療法士から意見を言ったり、特定の運動許可を得たり(何歩・何メートル歩いていいか?など)します。
こうして医師と話し合い、適切な運動方法で回復を目指して徐々に能力を上げていき、患者さんが安全に生活できるレベルになって退院していけるように目指すのが最大の特徴です。
理学療法とはあくまでリハビリテーションをする際の手段であり、治療の意味合いに近いです。一方、リハビリテーションは社会復帰・退院を目指すために必要な過程であると解釈してもらってもいいでしょう。
リハビリテーションの中に「理学療法」、「作業療法」、「言語療法」などが含まれます。
理学療法士が勝手に治療してはいけないんですね・・・
なんか複雑な関係です・・・
- 理学療法士は開業する権利はないの?
-
幅広く展開できるのが強みなのが理学療法士ですが、「理学療法士として」の開業は無理です。
理学療法士および作業療法士法にも記載されているので違法になります。
診断ありきでの医療行為となりますので、言い訳は困難かと・・・
理学療法の具体的内容について
理学療法には主に2種類あり、運動療法と物理療法があります。これらの中身について少しだけ詳しく説明していこうと思います。
運動療法
運動療法というのは、立ち上がることや歩く練習、食事動作や入浴動作の練習などの日常生活動作のトレーニングももちろんですが、関節のずれを修正したり、関節を引っ張り動きを円滑にしたり、筋力強化も行います。
脳卒中の患者さんであれば中枢神経の回復を促進するために一定の運動パターンを覚えさせる特殊手技を使ったりもしますし、肺などの問題があるならば呼吸器の運動療法も行います。
このように様々な疾患に対して個別にリハビリを展開して安全に運動を行っていき、その人に合わせた体操指導も行います。
テレビでよく見る患者の歩行練習だったり理学療法士が足を持って関節を動かしているのも立派な運動療法になります。
リハビリテーションを行っている病院・施設ならば基本的に理学療法を行い、運動療法を中心に機能回復を図っていくでしょう!
物理療法
物理療法とは、主に治療機器を使用して痛み軽減、関節の矯正、炎症をやわらげたりなどの効果を狙います。
電気を肩や腰に広範囲に当てたりして凝りをとったり、レーザーでピンポイントに痛みを減らしたりします。牽引器で腰や首を引っ張り、痺れや腰痛などの症状を減らしたりもしますね。
足をくじいて捻挫したら皆さん冷やしたりするときありますよね?あれも物理療法の一種で寒冷療法といい、アイシングとも言います。
物理療法は色んな機器がある分仕組みも様々なのですが大体このあたりが主流かなと思います。
クリニックなどの外来を受付している病院ではこの機械を使っての治療を中心に展開する病院も少なくないです。
理学療法士はどんな患者さんをリハビリするか?
前回の記事でも少し説明しましたが、理学療法士は年齢関係なく幅広く疾患に対応してリハビリを展開していきます。
頭の先から足先、脳から心臓までさまざまです。
理学療法の疾患別として分けた場合
- 呼吸理学療法:肺疾患、気管支疾患などに対するリハビリ
- 潤滑油理学療法:主に心臓・大動脈などに対するリハビリ
- 中枢神経疾患理学療法:脳血管障害、脊髄疾患などに対するリハビリ
- 整形外科的理学療法:骨折などのケガによる外傷、変形疾患などに対するリハビリ
上記のようなリハビリが主となっております。
呼吸理学療法
「息が苦しい」、「呼吸がしづらい」等の訴えや症状がある患者さんに行うのがこの呼吸理学療法です。
肺・気管などの問題によって酸素を吸ったり吐いたりが困難になった際に肋骨の動きを良くしたり、呼吸方法を指導したり、呼吸状態を見ながら歩行練習を行います。
喘息や気管支炎、肺気腫などの患者さんも対象になりますね。咳・痰を出しやすくするのもリハビリで行うんですよ。
呼吸理学療法では過度な運動量にならないように常に慎重に数値を見ながらリハビリをしており、患者さんが呼吸不全を起こさないようにリスク管理を行うのが特徴です。
呼吸器の病気によって生じた障害をもつ患者さんに対して可能な限りの機能回復、維持をして生活を自立できるように支援していくのが目的になります。
循環器疾患理学療法
心筋梗塞・大動脈手術後・心不全などの心疾患患者が対象になります。
心臓は全身に酸素や栄養を送る働きがあり、心臓の動きが低下すると酸素や栄養の運搬が遅れてしまい、意識が飛んだり、ふらふら感、動悸、胸の痛みなどが症状として現れます。
心臓への負荷が高すぎるとその場で倒れて最悪死に至ることがありますが、逆に負荷が低すぎると能力が上がらずどんどん筋力が落ちて生活がままならなくなる可能性も考えられます。そのため、リハビリの目的は如何に運動負荷が高すぎず、適切に運動負荷をかけて心臓の耐久力をあげて日常生活を行えるようになってもらうかがポイントとなります。
的確にリハビリを行うには心拍数、脈拍数、血圧、呼吸、顔色など様々な状態を常に把握し、運動量・負荷を調節するかが必要ですので、理学療法士には高い管理能力が求められます。
中枢神経疾患理学療法
中枢神経疾患は幅広く、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脊髄損傷、パーキンソン病、小児麻痺などがあります。
脳神経、脊髄に何らかの原因で障害を受け、半身麻痺、感覚障害、言語障害、異常歩行、認知症など障害された部位によって様々な障害を引き起こします。
リハビリにおいては疾患によって運動療法の方法が変わります。
障害部位によってアプローチする方法も変わるため、その患者さんに合わせたリハビリが必要になります。
筋力強化、筋の柔軟性回復、神経機能の改善、感覚機能の回復など行いますがその患者さんが生活に戻る際に必要なこと、現状にたいして何が困っているかなどをしっかり把握し、そのうえで方針を決定していきます。
整形外科的理学療法
整形外科疾患は骨折、脱臼、変形やひざ痛、腰痛など種類が様々にあります。
スポーツ障害も含まれますね。
転倒や事故、生活状況によって骨折、変形を生じ痛み、関節の制限、筋力低下、歩行障害が起きます。
基本は最初安静が奨められることがほとんどです。
受賞後すぐや治癒後は薬や注射で鎮痛を図り、骨折などはギプス固定で骨折部に負荷がかからないように配慮して負担を限りなく減らして過ごしてもらうことになります。
リハビリにおいては痛みの改善を中心に筋力、関節の動きの改善をして、その後に動作練習を行います。スポーツならばそのスポーツに合わせた動作指導、生活での支障がある場合は再発しないように生活においての動作指導・姿勢指導なども行い、復帰を目指します。
骨折や変形などは関節や骨折部への負荷量を踏まえたうえで運動を行わなければいけなく、負荷量が多すぎると痛みの悪化、関節の変形増加、骨折部の治癒の遅れが生じます。
そのため、変形具合、骨折の治癒具合を確認しつつ医師と相談して負荷量を決めていくのが必要です。
【結論】理学療法の分野は多岐にわたり活躍する!
お疲れ様でした!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
理学療法士って専門分野ごとにリハビリしていたんですね!はじめて知りました!
確かにそうなんですが、実際は色々な疾患が複合するパターンが多いです。
なので、一つの分野だけを勉強していてもうまく理学療法が行えないのがほとんでしょう・・・
専門的なようで専門の幅がホントに広いんですね・・・
そうですね・・・
それでは今回はここまで!お疲れ様でした!
また次回の記事でお会いしましょう!
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